カットソーをかたちづくる風景 - 紡績工場編 4-
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KINOTTOの「カットソーをかたちづくる風景」- 紡績工場編 –
その舞台は、いつもお世話になっている大阪の泉州地域にある紡績工場
「エシカル」や「サステナブル」といった取り組みが
いまほど身近ではなかった頃から
綿花栽培の労働環境などにも配慮した原料調達をしつつ
個性豊かな素材を生み出し続けている会社です
そんな志あるものづくりの達人たちが
「着るもの」の「もと」となる「糸」をつくりあげる現場より
MADE IN JAPAN の日常のひとこまをお届けしています
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世界各地からやってきた個性豊かな原綿が(カットソーをかたちづくる風景 – 紡績工場編 1-)、
『混打綿(コンダメン)』という工程を経て(カットソーをかたちづくる風景 – 紡績工場編 2–)、
『カード』『コーマ』でスライバーとなり(カットソーをかたちづくる風景 – 紡績工場編 3-)、
わたしたちにもお馴染みの「糸」となっていく様子を、前回の続きからご紹介していきたいと思います。
『カード』や『コーマ』の工程を経てつくられたスライバーは、コットンの繊維がすっかりほぐされ異物も取り除かれているのですが、それぞれスライバーごとの太さや重さなどにまだムラがある状態。
それら全てを均整な状態にしていくのが『練条(レンジョウ)』です。
『練条(レンジョウ)』では、『カード』や『コーマ』後のスライバー6本~8本をまとめ合わせ、
引き延ばしながら再び1本のスライバーにまとめるという作業を2~3度繰り返し、太さを均整にして、縮みを無くし、繊維が平行に揃った状態にしていきます。

練条によりつくられた均整なスライバーは、糸の手前となるボリューム(スライバーより細く糸より太い状態)に引き伸ばし、少し撚り(より)をかけた状態にする『粗紡(ソボウ)』という工程へ向かいます。
早速、『粗紡』を行う機械の正面にまわって様子を見てみると、スライバーがこれまで見慣れた姿から変化していて、「あれ!?」と目を丸くしたKINOTTO。
そんな様子を見たMさんは、機械の中間部分にある茶色のローラーを持ち上げながら、その変化の起こる場面(撚りをかけているところ)を見せてくれました。

写真の奥(機械の裏の方向)から『練条(レンジョウ)』により均整になったスライバーがやってきて、手前の穴に入っていく間に繊維が撚られ、粗めの糸状になっているのが一目瞭然。
画像中央あたりに見える、ギザギザの刻まれた銀色のバーと小さな茶色のパーツ、そして今は持ち上げられている茶色のローラーの間を通過することで、繊維の束(スライバー)が引き伸ばされつつ撚りがかかる(粗糸になる)仕組みになっているのだそう。

そんな工程を経てつくられた「粗糸(ソシ)」はこんな感じ。
撚りがかかってこれまでより強度を備えたこの粗糸から、この後さまざまな種類の糸が生み出されていきます。
シュルシュルシュルシュル・・・・・・・・・
粗紡機から少し歩いた先で、何やら新たな機械音が聞こえてきました。

おお~!ついに「糸」を紡ぐ機械、『精紡機(セイボウキ)』の登場です。
通路の左右には数えきれないほどの糸の管がずらりと並び、ものすごい勢いで糸が紡がれていく様子は圧巻。
この『精紡(セイボウ)』工程では、粗糸を引き延ばして撚りをかけ、番手に合わせた「糸」に仕上げていきます。
※ちなみに、撚りを強くすると硬くて強い糸、撚りを甘くすると柔らかく弱い糸ができあがります。
ふと、「精紡機の上部から吊り下げられ、自動で前後に移動しているブルーの筒状のもの 」に目が止まり、Mさんに尋ねてみると、「これは、機械のまわりを掃除する自動掃除機なんです」とのこと。
なるほど、精紡は紡績工場の商品となる「糸」を生み出す工程で、塵や埃はもちろん御法度。
※糸に異物など不要なものが混入してしまうと、B品になってしまう恐れもあるのです。
ものすごいスピードで糸を紡ぐ機械付近の床が、埃ひとつない状態であることに感心すると同時に、せっせと働く自動掃除機の姿がなんだか頼もしく感じられた一幕でした。

あらためて精紡機に目を向けると、上部にはボリュームたっぷりの粗糸が設置されており、その下でシュルシュルと「何か」が素早く動く輪の部分を通じて、どんどん糸ができあがっていきます。

その「何か」ありそうな輪の部分をじっくり観察していると、
「そのリング(輪)の部分で糸を撚糸しているんですよ」と言いながら、糸の管を外して見せてくれたMさん。

輪(リング)の周りを素早く動いていた「何か」は「トラベラー」と呼ばれる小さな小さなパーツでした。

この「トラベラー」が、リングに到達する前の段階で引き伸ばされた粗糸を誘導しつつ、リングに沿って回転することで糸に撚りがかかる仕組みになっているのだとか。
そして、細い番手の糸を紡ぐときには小さなトラベラー(左のもの)、
太い番手の糸を紡ぐときには大きなトラベラー(右のもの)と、
つくるべき糸の番手に合わせ、全てのリングに取り付けるトラベラーを手動で付け替えるのだそう。
「え!?この細かいパーツを毎回、人の手で付け替えているんですか?」と驚いて、思わずMさんの方に顔を向けて尋ねると、
なんとこちらの工場では、「現在、月におよそ120品番という多種の糸を生産しているため、1日に5~6回程度生産する糸を変える必要があって、もちろんその都度全てのトラベラーを交換している」のだと教えてもらい、またまたビックリ!
試しにトラベラーをひとつ付け変えるところを見せてもらったのですが、入口も出口もない輪(リング)にとても細かいパーツを嵌め込むのは、ベテランのMさんでさえ手こずる場面もあるほど繊細な作業で、数が多ければもちろん骨が折れること間違いなし。
このとんでもなく手間のかかる作業と、その都度必要になる機械の微調整を考えれば、生産効率のみを第一に追求するタイプの工場ならば、きっとこのような対応を選択していないはず・・・・
Mさんたちのものづくりに対する真摯な姿勢と対応に、密かに頭の下がる思いになったKINOTTOなのでした。
そんなトラベラーを交換する技と、その作業量に思いを巡らせつつ精紡機の間を通り抜けていくと、行き当たった壁面に「トラベラー」の収納場所を発見。

壁に貼られた絵表示から、ケースに「トラベラー」が仕舞われていることが誰にでもわかりやすく、それぞれ細かく分類されて、異物が入り込まないように、きっちりビニールで覆われて収納されています。
「きっと、こういった整理整頓の仕組みも、手間のかかる細かい作業の効率化に繋がっているのだろうなぁ・・・」
と想像し、あらためて感銘を受けたひとこまでした。
そして、とうとう紡績工場での糸づくりも最終段階。
ここからは、精紡でできたそれぞれの管糸を、まとまった形状に巻きあげていく『仕上げ』の工程です。

機械下部に設置された(オレンジ色の管に巻かれた)糸を、繋ぎ合わせて一本の長い糸にすると同時に、
定めた基準から外れた太さになっている部分、コットン繊維以外の異物、色などが入り込んでしまった欠点部分をセンサーで感知し、
自動で除去しながら繋ぎ合わせ、チーズ(機械上部に載っている大きな糸巻き形状)の状態に仕上げていきます。

糸と糸を繋ぐと聞いたら、わたしたちはつい「結ぶ」ことを思い浮かべてしまいがちですが、機械で繋いだ部分は(画像のG7Zと書かれたグレーのパーツあたり)ほとんど繋ぎ目がわからないレベル。
これを自動で行なってくれる機械があることに驚くとともに、感謝の気持ちさえ湧いてきてしまったKINOTTO。
この工場には、すれ違うたびに気持ちよくご挨拶してくれて、研ぎ澄まされた業務プロセスや整理整頓のもと「真摯に働かれている人々」とともに、
紡績という大掛かりな仕事を上手くこなしていくため、おそらく長い期間をかけて人の手で生み出されてきた頼もしい「機械」たちがいて、
わたしたちのように「着るもの、身につけるもの」をつくる人達を、どっしり支えてくれていたのでした。

仕上げ機から離れる際にそっと振り向いてみると、静かに着々とお掃除してくれているブルーの筒たちが目に入り、つい拍手を送りたい気分になってしまうような人と機械との協働の風景だったのでした。

さて、こうして日々紡がれるたくさんの糸たちは、この後最終チェックを受けるためブラックライトの設置された(右奥の)小さなブースへ。

無事に検品を終えた糸たちは、この先それぞれが求められる「カタチ」となるべく新たなる工場に送られていきます。
※KINOTTOの場合は「カットソー生地」として編み立てられるべく、メリヤス工場へ向かいます。
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これまで4回にわたりお届けしてきた「カットソーをかたちづくる風景」- 紡績工場編 -は、いかがでしたでしょうか?
次回からは、紡績工場でつくられた糸を用いてカットソー生地をつくる工場をご紹介。
メリヤスの産地、和歌山県にある工場から「カットソーをかたちづくる風景 」- メリヤス工場編 – を、お届けしていきたいと思っています。
今後もKINOTTOが「MADE IN JAPANのものづくり」を巡る旅に、お付き合いいただけたら嬉しいです。
