「この人と出会えたことが最高！」

心からそう思える相手との出会いは、とても幸運で貴重なものだとしみじみ感じる今日この頃。

KINOTTOにとって間違いなくそんな人物のひとりは、一級建築士で住宅設計者の田中ナオミさんだ。

全く職業ジャンルの違う彼女との出会いは、2015年KINOTTOのブランド立ちあげより以前のこと。

自分達の目指すものづくりの道筋が明確になり、少しづつ商品群がカタチになり始めたくらいのタイミングだった。

「私たちのものづくりを体現してくれそうな人に心当たりがある」と、スタッフの一人に連れられ訪れたのが　 – 田中ナオミアトリエ　一級建築士事務所 – 。

設計の依頼ではないことが明らかな私たちの話に、熱心に耳を傾けてくださる公平で寛大な姿勢。独特のバランス感覚で受け答えしてくださる優しさと清々しさ。そしてその佇まいにも、すっかり心を奪われてしまった私たち。

（その後、無理を言ってカタログモデルをお願いしたのでした。）

畑違いの依頼でもあるに関わらず、快く受けとめてくださる懐の深さはさることながら、建築家であるとともに「一人の生活者」としての目線を忘れないその姿勢からは学ぶことばかり。

いつでも私たちのものづくりに良い影響を与えてくれる大切な存在となっている。

そんなナオミさんが最近新しい本を出された。

その「日常に寄り添う道具」ともなり得る内容に、KINOTTOのホームページで紹介させて欲しいと早速お願いすることに。（いつもお願いしてばかりの私たち・・・）

これまでの本も、一貫して「建築家としての美意識」と「そこで生活する人の感覚」を絶妙に両立し、人間味溢れるわかりやすい調子で書かれていることもあり、豊富な内容にもかかわらずあっという間に読み終えてしまうのだけれど、この度も然り。

今回は特に、毎日家事をする人にとっては「なるほど！」というアイデアや、住宅設計士だからこそ気づける快適な生活動線の工夫など、まさに「時間に追われつつも日々の生活を楽しみたい」と願う人々の心強い味方になってくれそうな一冊。

目に飛び込んでくる「時短」とか「家事の効率」という表現も、その語り口からか思いのほかシステマティックな響きはなく、「生活する人」が幸せであるための手段を、彼女の美意識や経験を通じて紹介してくれている印象だ。（チャーミングなイラストもご本人が描かれているので、図解の説得力も抜群です。）

KINOTTOが共にものづくりをする各地の職人さんにも共通することなのだけれど、一本筋の通った人たちの言葉には、強さと同時に爽快さもあってとても魅力的。

日々のこと全てを完璧にこなそうとしたら肩に力が入ってしまいそう。でも、それぞれのペースで心地よく暮らせる工夫からスタートしてみたら、いつの間にか手の届かないと思っていた場所へ気楽にたどり着けていたりして。

「自分にとって有意義な時間＝生活の潤い」に満ちた毎日は、案外身近にあるのかもしれません。

 

『がんばりすぎない家事の時短図鑑』

著者：田中ナオミ

定価：1,760円

発行：株式会社 エクスナレッジ

 

余談になりますが、この本の発行日が私たちのウェブサイトリニューアルオープンと同日だったことにビックリ！

不思議な偶然の一致にも、ちょっぴりほくほくしているKINOTTOなのでした。